親から子へ車を譲るときや、夫婦で車の名義を変えるとき、「家族なら車庫証明はいらない?」「駐車場が同じなら取り直さなくていい?」と迷うことがあります。
普通車の家族間の名義変更では、車の「使用の本拠の位置」が変わるかどうかが、車庫証明の必要・不要を判断する基本です。 同居していて使用の本拠の位置が変わらなければ、原則として車庫証明の取り直しは不要です。一方、別居する家族へ譲り、車を使う拠点が変わるなら、原則として必要になります。
軽自動車は普通車と仕組みが異なり、車庫証明の取得ではなく、地域や変更内容に応じた「保管場所届出」を確認します。
この記事では、家族間で車を譲るケースを中心に、車庫証明が必要になる条件、必要書類、費用と手続きの順番を解説します。
※2026年10月29日時点の公式情報を確認しています。本文の「普通車」は、軽自動車を除く自家用の登録自動車を指します。
目次
家族間の名義変更で車庫証明が必要か早見表で確認
まずは、車の種類と、名義変更後に車をどこを拠点として使うかを確認しましょう。
| ケース | 車庫証明・届出の考え方 |
|---|---|
| 同居の親子・夫婦で普通車を譲り、使用の本拠も駐車場も変わらない | 原則、車庫証明の取り直しは不要 |
| 別居の家族へ普通車を譲り、使用の本拠が変わる | 原則、新たな車庫証明が必要 |
| 普通車の駐車場は同じだが、使用の本拠が変わる | 原則、新たな車庫証明が必要 |
| 普通車の所有者だけを変更し、使用者・使用の本拠・駐車場は変わらない | 原則、車庫証明の取り直しは不要 |
| 使用の本拠を変えずに、普通車の駐車場だけを変更する | 車庫証明の取得ではなく、保管場所の変更届出が必要 |
| 軽自動車を家族へ譲る | 名義変更に車庫証明は不要。対象地域と変更内容に応じて保管場所届出を確認 |
※車庫証明や届出には適用除外地域があります。上表は、それぞれの手続きの対象地域を前提としています。
警察庁は、普通車の移転登録で車庫証明が必要となる条件を「使用の本拠の位置の変更を伴うとき」としています。家族だから特別に免除されるのではなく、本拠が変わらないことがポイントです。
出典:警察庁「自動車の保管場所証明申請」、警察庁「自動車の保管場所届出」
「使用の本拠の位置」と「駐車場の場所」は別
使用の本拠の位置は、車を使い管理する拠点

使用の本拠の位置とは、その車を使い、管理する拠点です。個人の場合は、通常、実際に住んでいる場所が該当します。
一方、保管場所は、車を普段停めておく車庫や月極駐車場などの場所です。
たとえば、自宅から300m離れた月極駐車場を使っている場合、使用の本拠は自宅、保管場所は月極駐車場になります。
駐車場が変わらないことと、使用の本拠が変わらないことは同じではありません。 近所に住む子どもへ車を譲り、同じ月極駐車場を使い続ける場合でも、使用の本拠が親の家から子どもの家へ変われば、普通車では原則として新たな車庫証明が必要です。
最初に車検証の登録情報を確認する
名義変更前には、次の情報を確認してください。
- 現在の所有者
- 現在の使用者
- 登録されている使用の本拠の位置
- 名義変更後の使用者と使用の本拠の位置
電子車検証では、所有者の氏名・住所や使用の本拠の位置などは券面に表示されません。「車検証閲覧アプリ」、または最新の「自動車検査証記録事項」で確認します。
今は同居していても、登録情報が以前の住所のままなら、そのまま「本拠の変更なし」と判断しないでください。実際の生活拠点と登録内容の違いを、申請先の運輸支局へ伝えて確認しましょう。
車検証閲覧アプリ
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同居の親子・夫婦なら車庫証明は不要?
使用の本拠が同じなら、原則として取り直し不要
同じ家に住む父から子へ普通車を譲り、名義変更後も同じ家を拠点に使うなら、原則として車庫証明の取り直しは不要です。同居する夫婦での名義変更も、基本の考え方は同じです。
ただし、運輸支局の公式案内では、使用の本拠の位置が現在の車検証上と変わらない場合に「添付を省略できる場合がある」と案内されています。申請前に、現在の登録内容と変更後の内容を伝えて、省略できることを確認すると手戻りを防げます。
問い合わせるときは、次のように伝えると分かりやすいでしょう。
同居する父から子へ車の名義を変更します。使用者は変わりますが、車検証に登録されている使用の本拠の位置と駐車場は変わりません。車庫証明の添付は省略できますか?
車庫証明の添付が必要かは運輸支局、車庫証明の申請書類や駐車場の条件は管轄の警察署が確認先です。
車庫証明が不要でも、名義変更は必要
車庫証明を省略できることと、車の名義変更をしなくてよいことは別です。
普通車の所有者が変わった場合は、原則として変更のあった日から15日以内に移転登録を申請します。同居の家族への無償譲渡でも、所有者が変わるなら手続きが必要です。
別居の家族へ車を譲るなら、原則として車庫証明が必要
子どもの自宅などへ使用の本拠が変わる場合
離れて暮らす子どもへ普通車を譲り、その子どもの自宅を拠点に使うようになるなら、原則として新しい車庫証明が必要です。
親子・夫婦・兄弟姉妹といった続柄や、車の代金を受け取るかどうかで、この基準が変わるわけではありません。
また、同じ市内での譲渡や、ナンバーが変わらない名義変更でも、使用の本拠が変われば車庫証明の対象になります。
所有者だけ変わり、車を使う人・場所は変わらない場合
別居している家族間でも、所有者だけが変わり、実際の使用者と使用の本拠が変わらないケースはあります。
たとえば、これまで「所有者は親、使用者は子」で、子どもの自宅が使用の本拠として登録されていた車を、その子どもの所有名義へ変える場合です。使用の本拠が変わらなければ、原則として新たな車庫証明は不要です。
別居かどうかだけで決めず、現在と変更後の登録情報を比べて判断しましょう。
なお、実際には子どもの家を拠点に使うのに、手続きを省くために親の住所を使用の本拠として残すことはできません。
軽自動車は「車庫証明」ではなく「保管場所届出」を確認
軽自動車検査協会で行う名義変更では、普通車のように車庫証明を添付しません。ただし、警察への保管場所届出が必要になる場合があります。
確認するのは、次の2点です。
- 使用の本拠が、軽自動車の保管場所届出の対象地域にあるか
- 家族からの譲渡に伴って、保管場所が変わるか
大阪府警の案内では、対象地域内で、家族からの譲渡による名義変更とともに駐車場の位置を変える場合を届出の対象としています。同居の家族への譲渡で、使用の本拠も保管場所も変わらないなら、名義変更だけを理由に新たな保管場所届出が必要になるわけではありません。
一方、別居の家族へ譲って駐車場が変わる場合は、対象地域を確認して届出を行います。保管場所を変更したときの届出は、変更した日から15日以内です。
普通車の車庫証明の対象地域と、軽自動車の保管場所届出の対象地域は同一ではありません。確認は、都道府県警察の公式サイトまたは駐車場を管轄する警察署で行ってください。
車庫証明が必要な場合の書類と申請方法
車庫証明の主な必要書類
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 自動車保管場所証明申請書 | 車台番号、車の大きさ、使用の本拠、保管場所などを記入 |
| 保管場所の所在図・配置図 | 周辺の位置関係、駐車区画、出入口、寸法などを示す |
| 保管場所を使う権利を示す書類 | 自認書、保管場所使用承諾証明書、要件を満たす駐車場賃貸借契約書の写しなど |
申請先は、駐車場の所在地を管轄する警察署です。申請者の住所地を管轄する警察署と一致するとは限りません。
用紙の様式や提出部数は申請先の案内に従ってください。所在図を省略できる条件もありますが、配置図まで一律に不要になるわけではありません。
参照:警視庁「車庫証明について」、警察庁「自動車の保管場所証明申請」
親名義の土地は、子どもの「自己所有」ではない

家族間で間違えやすいのが、駐車場を使う権利を示す書類です。
子どもが申請者で、駐車場の土地や建物が親名義なら、「実家だから」という理由で子ども自身の自認書を出す扱いにはなりません。警視庁は、この場合は土地所有者である親の「保管場所使用承諾証明書」が必要と案内しています。
月極駐車場を親名義で契約している場合も、子どもがそのまま使えるか、契約名義の変更や管理会社の承諾が必要かを確認しましょう。
なお、これは車庫証明の申請や届出が必要なときの書類の話です。土地が親名義であることだけを理由に、不要だった車庫証明が必要になるわけではありません。
駐車場は自宅から直線距離で2km以内が基本
保管場所には、使用の本拠から直線距離で2kmを超えないこと、道路から支障なく出入りできること、車全体を収容できることなどの条件があります。
別居の家族へ譲ったあとも実家の車庫を使うなら、新しい使用の本拠からの距離や、実際にそこへ保管できるかを確認してください。
費用はいくら?車庫証明の交付まで何日かかる?
申請手数料は都道府県で異なる
2026年10月29日時点の公式案内では、車庫証明の申請手数料は次のとおりです。
| 地域・申請方法 | 車庫証明の申請手数料 |
|---|---|
| 東京都・窓口申請 | 2,400円 |
| 東京都・OSS申請 | 2,300円 |
| 千葉県・窓口申請 | 2,200円 |
上記は車庫証明の申請手数料です。名義変更の登録手数料、ナンバープレート代、代行を頼む場合の報酬などは別になります。
保管場所届出そのものの手数料は、警察庁の案内では「なし」です。証明書類の取得費用などとは分けて考えましょう。
出典:警視庁「車庫証明について」、千葉県警察「車庫証明手続」、警察庁「自動車の保管場所届出」
即日交付を前提に予定を組まない
車庫証明は、窓口申請から交付まで3〜7日間かかります。日数や休日の数え方は申請先で確認してください。
また、車庫証明は取ってから長期間置かず、名義変更に使います。警視庁は証明日からおおむね1か月以内の提出を案内しているため、登録予定日と合わせて申請するとスムーズです。提出可能な期間は、申請先の運輸支局の案内も確認しましょう。
2025年4月に廃止されたのはステッカー
2025年4月1日から、車の後部ガラスなどに貼っていた「保管場所標章」が廃止されました。
廃止されたのはステッカーの制度で、車庫証明や保管場所届出の制度は残っています。 古い記事にある標章交付申請や標章交付手数料を、そのまま現在の手続きに当てはめないようにしましょう。
家族間で普通車を名義変更する手続きの順番
窓口で申請する場合は、次の順番で進めると分かりやすくなります。
- 車検証情報を確認する:所有者、使用者、使用の本拠の位置を確認する。
- 変更後の使い方を決める:誰が使い、どこを拠点にして、どこへ駐車するかを整理する。
- 車庫証明の要否を確認する:省略する場合は運輸支局へ、必要な場合は警察署で書類・日数を確認する。
- 必要な場合は車庫証明を取得する:新しい使用者の使用実態に合った内容で申請する。
- 名義変更の書類を用意する:譲渡証明書、印鑑証明書、委任状など、該当する書類をそろえる。
- 運輸支局等で移転登録を申請する:使用の本拠を管轄する窓口で手続きする。
一般的な普通車の譲渡では、車庫証明とは別に、有効な車検証、旧所有者が実印を押した譲渡証明書、新旧所有者の印鑑証明書などが必要です。本人が窓口へ行くか、代理申請するかによっても用意するものが変わります。
所有者が販売店やローン会社なら、家族の判断だけで所有者を変更する手続きは進められません。まず所有者へ相談してください。また、亡くなった家族から引き継ぐ場合は、通常の譲渡ではなく相続に必要な書類を確認します。
名義変更とあわせて、自動車税の申告窓口や任意保険の契約先にも、変更に伴う手続きを確認しておきましょう。
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よくある質問
同じ住所で世帯だけ別なら、車庫証明は必要?
世帯が同じか別かだけでは決まりません。実際の使用の本拠が変わらず、登録上も変更がないかが判断の基本です。二世帯住宅などで住所の表記が異なる場合は、現在と変更後の情報を運輸支局へ伝えて確認しましょう。
家族が持っている古い車庫証明を、そのまま使える?
新たな車庫証明が必要な手続きで、以前の名義人が取得した古い証明書をそのまま流用することはできません。変更後の使用者・使用の本拠・保管場所に対応した証明が必要です。
一方、使用の本拠が変わらず添付を省略できる場合は、「古い証明書を使う」のではなく「新たな車庫証明の添付を省略する」扱いです。
親名義のまま車を借りて運転するだけでも名義変更が必要?
一時的に借りるだけで所有者が変わらなければ、所有者変更のための移転登録は生じません。ただし、実際の使用者や使用の本拠が変わる場合は、別途、登録内容の変更や車庫証明が必要かを確認します。
今回の記事は、車を家族へ譲って所有者を変更するケースを中心にした説明です。
まとめ|家族関係より「車を使う拠点が変わるか」を確認
家族間の名義変更で車庫証明が必要か迷ったら、まず車検証に登録された使用の本拠と、名義変更後の生活拠点を比べてください。
- 普通車で使用の本拠が変わらない:原則、車庫証明の取り直しは不要。添付省略を運輸支局へ確認する。
- 普通車で使用の本拠が変わる:原則、新たな車庫証明が必要。同じ駐車場でも判断は変わらない。
- 軽自動車:車庫証明は不要だが、対象地域と変更内容に応じて保管場所届出を確認する。
同居・別居という言葉だけで判断せず、「誰が、どこを拠点に使い、どこに停めるか」を整理すれば、必要な手続きを確認しやすくなります。


