ABSの歴史は思っているより古く1930年代から開発が始まっていました。
日本車で初めて搭載された車はトヨタのソアラで後輪にのみABSがかかるというものですが、四輪としてはホンダのプレリュードが日本初です。
近年は教習所でもABSのことを少し勉強しているはずですが、実際に使ったことがある人は少ないはず。
この記事では、ABSの役割と正しい使い方をご紹介していきます。
目次
ABSの役割とは
↑上記の写真がエンジンルーム内にある実際のABSのユニット
Anti lock Brake System(アンチロック・ブレーキ・システム)の頭文字をとったのがABSです。
走行中、急ブレーキを踏んだときにブレーキの強さを自動で制御してタイヤがロックして回転が止まってしまうのを防いでくれる役割があります。
電子制御により『タイヤがロックしそうになる⇔解除して回転させる』という動作を自動的に繰り返してくれるのだ。
車をすぐ停止するためにタイヤの回転を止めないって矛盾してないの?
そう思うのも仕方ないですよね(汗)
では、その理由を説明していきます!
タイヤをロックさせない理由
最短距離で停止することができる
制動距離という言葉をご存じだろうか?
これはブレーキが効きはじめてから車が停止するまでの距離のことをいいます。
緊急時に少しでも短い距離で止まれるに越したことはないはず。
では、少しでも早く停止するにどうしたらいいかというと、タイヤの摩擦力(グリップ)を最大限に生かすことです。
そのため、停止するまでタイヤの回転を完全に止めてはいけないのです。
これにより最大限の摩擦力を得ることができ、最短距離で車を停止させることが可能となります。
ハンドル操作ができるようになる
タイヤがロックすると滑っている状態となり、車はスピンしたりハンドル操作をしても真っ直ぐにしか進まなくなります。
ハンドルを切った方向に車が思い通りに動いてくれないと、緊急回避ができなくなり最悪の場合は人をはねてしまいかねません。
ABSは本来、このハンドル操作性を高めるためのものなのです。
スポンサーリンクABSが作動するための条件
いつも以上に強くブレーキペダルを踏んだつもりでもABSが作動してくれないことがあります。
ABS警告灯が点いたり故障が原因でない限り、二つの理由が考えられます。
ABSが作動しない理由
一つ目は、タイヤがロックせずに停止できる状況です。
車速が低かったり、車重が軽いほど素早く止まることができるからです。
結果、フルブレーキを踏んでもロックせずに停止しすることができたという状況。
二つ目は、しかっりとブレーキペダルを踏みこめていないことです。
ABSが作動するとゴリゴリやブリブリという音と振動がするのですが、初めて経験した人はびっくりしてブレーキペダルを踏む力を弱めてしまうことがあるのです。
もしくは、単純にブレーキペダルを奥まで踏めていないということ。
しっかりと奥まで踏み込み続けることで、ABSの性能を発揮できるため、宝の持ち腐れとなってしまいかねません。
シートを下げすぎるてる人もいますが、奥までしっかりブレーキペダルを踏めないのでぜひ見直していただけたらと思います。
実際に経験しないと分かりませんが、雪や雨などで乾いていない路面具合によっては、思っているより早くタイヤがロックしてしまう状況もあるのでABSが早めに効きはじめることもあります。
ABSが作動するための条件とは
上記をまとめたものが作動するための条件となります。
・タイヤがロックしてしまう状況であること
・ブレーキペダルをしっかりと奥まで踏み続けること
いざとなったら、ブレーキペダルを奥まで踏み続けるということを知っているだけで、知らないよりは迷いが消えると思います。
スポンサーリンクABSがついていない車はどうすればいいの?
いまでは全ての四輪車、二輪車(バイクなど)にABSが義務づけられているので、ほとんどの車に搭載されています。
しかし、古い車もたくさん走っているので100%のABS付き自動車が公道を走る日はまだまだ先のことでしょう。
ABSがついていない古い車なんだけど、どうしたらいいの?
ポンピングブレーキを行う
急ブレーキ時にABS無しの場合は『ポンピングブレーキ』をすることで、ABSと同じような効果が得られます。
“同じような効果”といったのは、ABS同様にタイヤがロックしそうになる⇔解除して回転させるというタイヤがロックしないギリギリ繰り返し動作を的確にするのは訓練をしているドライバーでないとできないのと、近年のABS性能に人間の足は勝てないからです。
それでも、ただフルブレーキでタイヤをロックさせるよりは効果があります。それによりハンドル操作ができるようになり緊急回避が可能になります。
ポンピングブレーキとは
名前の通り、ブレーキペダルをポンピングすることです。
ABSはタイヤがロックしそうになる⇔解除して回転させるを繰り返すといいましたが、これを足でやるにはブレーキペダルをポンピングするように、踏む力を弱くしたり強くしたりという動作を繰り返す必要があります。
タイヤがロックする感覚とロックするギリギリを見極める必要があるので、ある程度の練習もしなければ習得できません。
練習をするには周りに迷惑をかけなく危険の少ない車講習会や、ジムカーナ場での練習をおすすめします。
最初はハンドルを真っ直ぐに保ち、タイヤがロックしそうになったら、一瞬踏む力を弱めるイメージで練習をするといいです。
ブレーキペダルを踏む力を抜くという勇気も時には必要なことがあるのです。
まとめ
☑ABSとはタイヤがロックして回転が止まるのを防ぐシステムで、本来の目的は制動距離でなくハンドル操作を可能にさせるため
☑正しくABSを作動させるにはブレーキペダルをしっかり奥まで踏み続けること
☑タイヤがロックするタイミングは車や路面状況などにより変わる
☑ABSが無い車はポンピングブレーキをするといいが練習が必要
いざというときに、人間は思わず体が反応して急ブレーキを踏み、緊急回避をしますが、中途半端な知識だと時には迷いが生じることがあります。
自分の車にABSが付いているか確認し、迷わずしっかり踏み続けられるようにシートポジション(運転姿勢)を見直してみるといいでしょう。
皆さんが素敵なカーライフを送れますよう願っております。
【サスペンション】ショックアブソーバーとスプリングの違いと役割とは?最後まで読んでいただきありがとうございます。この後も引き続き当ブログ『またたびCarfe』でゆっくりとお過ごしください。