エンジンオイルの粘度・規格・種類の違いと選び方|0W-20・5W-30を解説

0W-20と5W-30のエンジンオイル容器と、粘度・規格・種類の違いを案内する整備士ネコのラチェットくん

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「0W-20と5W-30は何が違う?」「全合成油なら、どの車にも使える?」

エンジンオイルを選ぶとき、容器に並ぶ数字やアルファベットで迷うことはありませんか。

エンジンオイル選びで最初に確認するのは、車が指定する「粘度」と「品質規格」です。 値段の高さや「全合成油」という表示だけで決めるものではありません。

この記事では、エンジンオイルの役割、0W-20などの粘度表示、種類の違い、API SQ・ILSAC GF-7といった規格をわかりやすく解説します。

※規格に関する情報は2026年10月15日時点で確認しています。主に乗用車用の4ストロークエンジンオイルを対象としています。

エンジンオイルとは?エンジンを守る5つの役割

エンジンオイルは、基礎となるベースオイルに、性能を補う添加剤を組み合わせた潤滑油です。エンジン内部を循環し、動く部品を保護しています。

役割エンジン内部でしていること
潤滑金属部品の間に油膜をつくり、摩擦や摩耗を抑える
冷却ピストンなどから熱を受け取り、運ぶ
清浄・分散汚れが部品に付着するのを抑え、オイル中に分散させる
密封ピストンリングとシリンダーの間などの密封を助け、燃焼ガスの漏れを抑える
防錆・防食金属表面を保護し、さびや腐食を抑える

つまり、単に部品を滑りやすくするだけではありません。エンジン本来の性能を保つために欠かせないものです。

ただし、使い続けると熱や汚れなどの影響を受けるため、適切なオイルを選んでも定期交換は必要です。

交換時期やオイル量の点検については、エンジンオイル交換と点検の解説記事をご覧ください。

エンジンにオイルを注ぐ様子と、交換時期や点検方法を案内する整備士猫のラチェットくん エンジンオイル交換の時期は?距離・期間の目安と点検方法を解説

エンジンオイルの粘度とは?0W-20・5W-30の見方

粘度とは、液体の流れにくさを表すものです。エンジンオイルでは、SAEという分類に基づく「0W-20」「5W-30」などの表示で確認できます。

前半は低温時の性能、後半は高温時の粘度を表します。 前後の数字は別の基準なので、そのまま比較したり、温度として読んだりしないようにしましょう。

エンジンオイルの0W-20を例に、0Wが低温時の性能、20が高温時の粘度を表すことを説明した図

「0W」「5W」は低温での始動性・流動性を示す

WはWinter(冬)の頭文字です。Wの前の数字が小さいグレードほど、より低い温度での始動性やオイルの送りやすさに関する基準を満たしています。

たとえば、0Wは5Wより低い温度での試験条件に対応します。

ただし、「0Wだから夏には柔らかすぎる」という意味ではありません。高温時の粘度は、ハイフンの後ろの数字で確認します。

「20」「30」は高温時の粘度の分類

後ろの数字は、100℃での動粘度などに基づく高温側の分類です。同じ条件で比較すると、一般に20より30のほうが粘度の高い範囲に分類されます。

ここで間違えやすいのが、数字が大きいほど高品質、というわけではないことです。

エンジンは、使用するオイルの粘度も考慮して設計されています。必要以上に高い粘度を選べば抵抗が増え、燃費などに影響することがあります。反対に、指定より低い粘度への変更も、必要な保護性能を確保できるとは限りません。

0W-20と5W-30はどちらがいい?

比較項目0W-205W-30
低温側の分類0W5W
高温側の分類SAE 20SAE 30
選ぶ基準車が0W-20を指定・許容しているか車が5W-30を指定・許容しているか

どちらが優れているかではなく、その車にどちらが適しているかで選びます。

0W-20を推奨する車に「夏だから」「高速道路を走るから」という理由だけで5W-30を入れる必要はありません。取扱説明書に複数の粘度や使用条件が示されている場合は、その範囲内で判断しましょう。

また、「0W-20は外気温0~20℃用」「5W-30は5~30℃用」という読み方は誤りです。

エンジンオイルの種類|全合成油・部分合成油・鉱物油の違い

エンジンオイルは、使用するベースオイルによって、主に次のように表示されます。

種類大まかな特徴選ぶときのポイント
全合成油・化学合成油低温特性や耐熱性、酸化安定性などを高めた製品が多い表示だけで判断せず、粘度・規格・メーカー承認を確認する
部分合成油鉱物油と合成油を組み合わせたもの指定条件を満たす製品の中で、価格と性能のバランスを検討する
鉱物油原油を精製してつくるベースオイルを使用車が求める条件を満たしていることが前提

全合成油なら必ず高性能?

全合成油は、厳しい温度条件などを想定した製品も多くあります。ただし、全合成油という表示だけでは、その車に適合するかはわかりません。

オイルの性能は、ベースオイルだけでなく添加剤の配合などにも左右されます。「全合成油だから指定と違う粘度でも大丈夫」「高いオイルだから交換時期を延ばせる」とは考えないようにしましょう。

部分合成油の配合割合は決まっている?

部分合成油の合成油配合率を、すべての製品で「20~30%」などと一律に説明することはできません。配合内容は製品によって異なります。

また、配合率だけで完成したオイルの性能順位が決まるわけでもありません。比較するときは、製品が満たす規格と用途を確認しましょう。

街乗りなら安い鉱物油でいい?

街乗り中心でも、指定規格や指定粘度を満たさないオイルは選べません。

予算を抑えるなら、まず適合する製品に候補を絞り、その中で価格を比較するのが基本です。ベースオイルの種類を先に決めると、車に必要な条件を見落とすことがあります。

品質規格とは?粘度とは別に確認しよう

品質規格は、摩耗防止や清浄性など、オイルに求められる性能を定めたものです。

「0W-20」は粘度、「API SQ」「ILSAC GF-7A」は品質規格。両方を確認して初めて、適合するオイルを選べます。

オイル容器の表示例で、0W-20は粘度、API SQ・ILSAC GF-7Aは品質規格、全合成油はベースオイルの種類と示した図
表示主に確認する内容
SAE 0W-20、5W-30などオイルの粘度分類
API SQ、SPなどガソリンエンジン油の性能区分
ILSAC GF-7A、GF-7Bなどエンジン保護や省燃費性などの要求性能
JASO GLV-1、GLV-2など日本で定められた低粘度ガソリンエンジン油の規格
ACEA規格・自動車メーカー独自規格欧州車などで指定される性能や適合条件

API SQ・ILSAC GF-7とは?SP・GF-6からの変更点

2026年10月時点で、ガソリンエンジン油の最新API区分はSQ、最新ILSAC規格はGF-7です。2025年3月に導入されました。

新しい規格では、使用で劣化したオイルも含めたLSPI対策、タイミングチェーンの摩耗防止、高温での堆積物抑制などが強化されています。GF-7では、省燃費性や排出ガス浄化装置の保護なども重視されています。

LSPIは低速早期着火のことで、主に直噴ガソリンターボエンジンなどで、低回転・高負荷時に問題となる異常燃焼です。通常の点火より前に燃焼が始まり、エンジンに大きな負担をかけることがあります。

なお、API SQと書かれているすべての製品が、ILSAC GF-7にも適合しているわけではありません。 車がILSAC規格を要求する場合は、その表示も確認してください。

GF-7AとGF-7Bの違い

規格主な対象と注意点
GF-7A0W-20や5W-30など。GF-6A指定車では、指定粘度などの条件を合わせて選ぶ
GF-7B0W-16のみが対象。GF-6Bの後継で、0W-16に対応する車に使用する

BはAより上位、という意味ではありません。 対象となる粘度が異なります。

0W-20指定車に、規格名が新しいからという理由で0W-16のGF-7Bを入れる判断はできません。

SP・GF-6のオイルは使えなくなった?

新規格が登場しただけで、車に適合していたオイルが突然使えなくなるわけではありません。

API資料では、ILSAC GF-6A・GF-6Bは2026年10月1日に旧規格扱いとなり、それぞれGF-7A・GF-7Bへの移行が案内されています。これは規格の扱いの変更であり、すべての既存車への使用禁止を意味しません。

新しく購入するなら、指定粘度や必要な承認を満たす新規格品が候補になります。SQなど新しい規格を要求する車に、古い規格のオイルを代用してよいという意味でもありません。

0W-8・0W-12やJASO GLV規格にも注目

一部の省燃費車には、0W-8や0W-12といった低粘度オイルが指定されています。

JASO GLV-1は0W-8・0W-12を対象とした規格です。一方、2024年に制定されたGLV-2は0W-16・0W-20を対象とし、高温側の粘度を保ちながら中低温域の粘度を下げ、省燃費性を高める考え方を採用しています。

GLV-2は、すべてのGLV-1指定車にそのまま使うための置き換え規格ではありません。 対象粘度が異なるため、車の指定を確認します。

エンジンオイルの選び方は「車の指定」を起点にする

銘柄が多くて迷ったときは、次の順番で絞り込むと選びやすくなります。

  1. 取扱説明書で指定を確認する:年式・エンジン型式まで一致する説明書を見る。
  2. 使用できる粘度を確認する:推奨粘度と、代替粘度の使用条件を区別する。
  3. 品質規格・メーカー承認を確認する:APIやILSACだけでなく、独自指定も確認する。
  4. 適合する製品の中から選ぶ:価格、入手しやすさ、使用条件などで比較する。

たとえば「0W-20・ILSAC GF-6A」が指定されている車なら、同じ0W-20でGF-7Aに対応する製品が候補になります。ただし、メーカー独自の指定がある場合は、その条件も満たす必要があります。

純正オイルと社外オイルはどちらがいい?

適合確認に迷うなら、その車に指定された純正オイルは選びやすい選択肢です。

社外オイルを選ぶ場合も、車の要求条件を満たす製品を選びます。「有名ブランド」「高価格」「スポーツ用」といった説明だけでは、適合の判断材料として不十分です。

ディーゼル車や輸入車は、粘度だけで選ばない

ディーゼル車では、DPFなどの排出ガス浄化装置に適したオイルが必要です。取扱説明書に示されたJASO規格やACEA規格などを確認してください。

輸入車でも、粘度やAPI規格に加えて、自動車メーカー独自の承認が必要な場合があります。

「同じ5W-30だから使える」とは限りません。 また、API SQはガソリンエンジン油の区分であり、それだけでディーゼル車への適合を判断することはできません。

エンジンオイル選びでよくある疑問

走行距離が増えたら、硬いオイルに変えるべき?

走行距離だけで粘度を上げる必要はありません。

オイルが減りやすい場合は、漏れやエンジン内部の状態など、原因の確認が先です。粘度変更で消費量が変わる場合もありますが、原因の修理とは別の話です。変更するなら、メーカーが許容する範囲や整備工場の診断に基づいて判断しましょう。

夏と冬で粘度を変えたほうがいい?

車の指定と使用環境に適合していれば、季節ごとに必ず変える必要はありません。

0W-20や5W-30などのマルチグレードオイルは、低温側と高温側それぞれの基準を満たすようにつくられています。寒冷地などで使用条件が変わる場合も、まず取扱説明書の案内を確認します。

ハイブリッド車なら、どれでも低粘度でいい?

ハイブリッド車でも、適切な粘度は車種やエンジンによって違います。0W-8指定の車もあれば、ほかの粘度を指定する車もあります。

「ハイブリッド用」という商品名だけで決めず、粘度と規格の両方を合わせましょう。

高いオイルなら交換までの距離を延ばせる?

価格や全合成油という表示だけを理由に、車が定める交換時期を延ばすことはできません。

車両メーカーの交換基準や、オイル交換時期を知らせる車両の表示に従います。短距離走行の繰り返しなど、シビアコンディションに該当する場合の基準も確認してください。

詳しくは、エンジンオイルの交換時期・点検方法で解説しています。

エンジンにオイルを注ぐ様子と、交換時期や点検方法を案内する整備士猫のラチェットくん エンジンオイル交換の時期は?距離・期間の目安と点検方法を解説

まとめ|粘度・規格・種類を分けて考えよう

エンジンオイルを選ぶときは、次の3つを区別するとわかりやすくなります。

  • 粘度:0W-20や5W-30など、温度に応じた流れやすさの分類。
  • 品質規格:API SQやILSAC GF-7など、必要な性能を満たしているかを示すもの。
  • 種類:全合成油・部分合成油・鉱物油など、ベースオイルによる違い。

大切なのは、数字の大きさや価格ではなく、自分の車に指定された条件を満たすことです。

まずは取扱説明書で、粘度・品質規格・メーカー独自の指定を確認してみてください。条件がわかれば、たくさん並んだオイルの中からも、必要なものを選びやすくなります。

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