カーエアコンの冷房の仕組み|冷媒の流れと各部品の役割を図解

車の冷房装置と車内へ流れる冷たい風を、ラチェットくんが指し示すアイキャッチ画像

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カーエアコンの冷房は、車外の冷気をそのまま取り込む仕組みではありません。取り込んだ空気の熱を冷媒に受け渡し、車外へ逃がすことで、吹き出し口へ冷たい風を送ります。

この記事では冷房の仕組みに絞り、添付の図に沿って冷媒と空気の流れを説明します。暖房の熱源と窓の曇り取りは、それぞれ別記事で詳しく紹介します。

カーエアコンの冷房は「圧縮→放熱→減圧→吸熱」

冷媒は配管の中を循環し、エバポレーターで車内の熱を吸収し、コンデンサーでその熱を車外へ放出します。代表的なエキスパンションバルブ方式の経路は、コンプレッサー → コンデンサー → レシーバータンク → エキスパンションバルブ → エバポレーター → コンプレッサーです。

コンプレッサー、コンデンサー、レシーバータンク、エキスパンションバルブ、エバポレーターを巡る冷媒の流れを示した冷房の3D図

図の注意点: 冷媒や風の流れを見せるための模式図です。部品の実際の配置や配管経路は車種で異なります。図の「霧状」は細かな液滴と気体が混じる状態を分かりやすく表現しています。

1. コンプレッサー|低圧の冷媒を圧縮する

エバポレーターから戻ったガス状の冷媒を吸い込み、圧縮して高温高圧のガス状冷媒にします。図の赤い配管はコンデンサーへの送り出し側です。エンジンのベルトで駆動するものだけでなく、電動コンプレッサーもあります。

2. コンデンサー|車外へ熱を逃がす

車両前方などに置かれ、走行風や冷却ファンを使って冷媒の熱を車外へ放出します。冷媒は主にガス状から液状になります。入口と比べて温度は下がりますが、コンデンサー出口はまだ高圧側。図のオレンジ色を「放熱後の高圧冷媒(液状)」としたのは、その違いを伝えるためです。

コンデンサーに付く冷却ファンは車外へ熱を捨てるためのものです。車内へ風を送るブロアファンとは別の役割を担います。

3. レシーバータンク|液状冷媒を整える

図のレシーバータンク(レシーバードライヤー)は高圧側で冷媒を一時的に蓄え、水分・異物の除去に関わります。すべての車に独立したタンクがあるわけではありません。 コンデンサーに乾燥剤を内蔵するものや、エキスパンションバルブに代えて固定オリフィスとアキュムレーターを使う構成もあります。

4. エキスパンションバルブ|圧力を下げる

高圧の液状冷媒を絞ってエバポレーターへ供給します。バルブの通過後に低温低圧となり、図では水色の「霧状」で表現しています。水色の区間は液滴と気体が混ざる状態を含みます。高圧側と低圧側の境目はここです。

5. エバポレーター|車内の空気から熱を受け取る

低温低圧の冷媒が流れるエバポレーターにブロアファンの風を通すと、空気の熱が冷媒へ移ります。冷たくなった空気は吹き出し口へ送られ、冷媒は蒸発して主にガス状となってコンプレッサーへ戻ります。

湿った空気ならエバポレーターの表面に水滴が付き、除湿も起こります。この働きはカーエアコンの除湿と窓の曇り取りで詳しく説明します。

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冷媒の「ガス状・液状・霧状」は何が違う?

図の色区間冷媒の目安
コンプレッサー → コンデンサー高温高圧・ガス状
オレンジコンデンサー → エキスパンションバルブ放熱後・高圧・主に液状
水色エキスパンションバルブ → エバポレーター低温低圧・液滴と気体の混合状態
エバポレーター → コンプレッサー低圧・主にガス状

「放熱したから低圧」「霧状だからすべて液体」と考えないことがポイントです。コンデンサーで放熱し、エキスパンションバルブで減圧するという別々の変化を追いましょう。

ハイブリッド車やEVでも冷房の原理は同じ?

車内の熱を冷媒で運ぶという原理は共通です。大きな違いはコンプレッサーを動かす方法。ガソリン車にはエンジンのベルト駆動を使う方式があり、電動コンプレッサーを備えたハイブリッド車はエンジン停止中も条件に応じて冷房できます。EVは電力でコンプレッサーを動かします。冷媒経路やバッテリー冷却との連携は車種で異なります。

よくある疑問

A/CをOFFにしても風が出るのはなぜ?

送風を担うブロアファンは、冷媒を使う冷房が止まっていても回せるためです。吹き出し口から風が出ることと、冷房が働くことは別です。AUTO制御の動きは車種の取扱説明書を確認してください。

コンデンサーとラジエーターは同じ?

どちらも熱交換器で外観は似ていますが、コンデンサーは主にエアコン冷媒の放熱、エンジン車のラジエーターはエンジン冷却水の放熱を担います。図では冷房回路のコンデンサーを描いています。

冷えなければ冷媒を補充すれば直る?

冷えない理由は冷媒漏れのほか、冷却ファン、コンプレッサー、電装品などにもあります。指定冷媒と充填量は車種で異なるため、自己判断で足さず、原因を調べてください。症状別の確認はカーエアコンが冷えない原因の記事へ。

車のエアコン吹き出し口と、冷えない原因を案内するラチェットくん 車のエアコンが冷えない原因は?症状別の確認方法と修理前に知りたい注意点

まとめ

冷房はコンプレッサーで圧縮 → コンデンサーで放熱 → エキスパンションバルブで減圧 → エバポレーターで吸熱の繰り返しです。吹き出し口へ風を届けるのはブロアファン。冷媒が運ぶ熱と、車内へ送る空気を分けて考えると仕組みが見えます。

暖かい風が出る理由はカーエアコンの暖房の仕組みで、曇り取りはカーエアコンの除湿の仕組みで紹介します。

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